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2005年7月 3日 (日)

スティグリッツとバグワティのグローバリゼーション論(1)

以前にも書いたが、私がずっと気にしているのが、グローバリゼーションである。

現在のグローバリゼーションとは一体何なのか-グローバリゼーションについての書物はそれこそ汗牛充棟の観を呈しているが、最近私にとって大変参考になったのが、次の2冊の書物であった:

ジョゼフ・E・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz)『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(鈴木主税訳、徳間書店、2002年)、原著は Globalization and its DiscontentsW. W. Norton & Co. Inc., 2002)。ついでながら、このタイトルから例のフロイトのCivilization and its Discontentsを連想してしまうのは私だけだろうか…?

ジャグディッシュ・バグワティ(Jagdish Bhagwati)『グローバリゼーションを擁護する』(鈴木主税・桃井緑美子訳、日本経済新聞社、2005年)、原著はIn Defense of GlobalizationOxford University Press, 2004)。

この両者は、言うまでもなく、大変有名な経済学者である。念のために、上記の書物で紹介されている両者の経歴を、ここでも簡単に紹介しておこう。

スティグリッツ氏(1943年生)は現在コロンビア大学教授。英ケンブリッジ大で博士号を取得。エール、オックスフォード、プリンストン、スタンフォードといった錚々たる大学で教鞭をとる。19933月から19971月までクリントン政権の大統領経済諮問委員会に参加(95年6月からは委員長に就任)、その後1997年に世界銀行に移り、チーフエコノミスト兼上級副総裁を20001月まで務めた。2001年にはノーベル経済学賞を受賞している。『正体』は世界銀行にいた時の経験をもとに書かれたグローバリズム批判の書である。

バグワティ氏(1934年生)はインド生まれの国際経済学者。英ケンブリッジ大を最優秀の成績で卒業後、MITやオックスフォードで学ぶ。20歳代で国際貿易学者としての地位を確立した。GATT事務総長の経済政策顧問、国連のグローバリゼーション問題に関する特命顧問、WTOの外部顧問などもつとめる。「1980年よりコロンビア大学の教授となる」-ともあるから、スティグリッツ氏と同じ大学に勤めていたことになる。それ以上のことは書かれていないので、バグワティ氏が現在もそうなのか、あるいは年齢から考えてもう退職しているかは分からない。もしかすると、バグワティ氏の後任がスティグリッツ氏なのかもしれないが、調べてみないと分からない(今度調べてみます)。

さて、この2冊は、タイトルだけを見比べると、グローバリゼーションに対して全く対極の姿勢に立ったもののような印象を受けるかもしれない。たしかに、この両者の間には多少のスタンスの違いは見受けられる。

しかしながら、私の読んだところでは、この両者には意外にも共通する面が少なからず見受けられた。本のタイトルからすれば一見まったく立場を異にすると思われる書物の間に見られる共通点であるだけに、われわれはそれを重要なメッセージとして受け止めるべきだと思う。まだ全部を読みこなしたわけではないが、主張の核心と思われる点については読み取れたと思うので、それを簡潔に比較してみたいと思う。〔続く〕

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コメント

非常に関心をそそられるトピックです。次回を楽しみにしています。これまで、とかくマルクス主義の影響が濃かった南北問題が自由主義の観点からどう語られるか興味深いです。

ところで、テロとの戦いを機に先進国の南北問題に対する取り組み方は変わってきているように思えます。世銀総裁に安全保障の専門家であるポ-ル・ウォルフォビッツ氏が就任したり、トニー・ブレア英首相がアフリカ救済を訴えたり。そうした意味で今度のサミットも目が離せないようです。

スティグリッツ、バグワティの著書と上記の問題がからむと一層面白くなりそうです。

投稿: 舎 亜歴 | 2005年7月 3日 (日) 14時55分

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