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2006年9月29日 (金)

授業開始を間近に控えて:適切なレベル設定の重要性

ここのところ本欄の更新のペースが落ちてしまっていた。その理由は、10月からの授業開始に向けて、あれこれ考えていたからである。特に「どうすればいいかな…」と考え込んでいたのは、英書講読の授業をどのように進めていけばよいか、ということだった。

4~7月までの春学期の授業について、受講者の学生諸君から寄せられた「授業評価アンケート」の回答集計結果が夏休み中に私の手元に届いた。幸い、おおむね好評であり、英書講読についてもなかなか好評だったのだが、好評さの度合いが、私の担当授業のなかで相対的に低かったのが、実は英書講読だったのである。私が一番苦労していたのが英書講読だったから、この結果は当然だったと言えるだろう。

なので、10月~翌年1月までの秋学期の英書講読はどのようにしていけばよいのか、ということについて、ずいぶんとこれまで、あれやこれやと考えてきたのであった。

およそ教える側のもつ希望としては、①「たくさん教えてあげたい」、②「分かりやすく教えてあげたい」、という2つがあると思われるが、この2つの間でのバランスをほどよく保つことは、実を言うと、そんなにたやすいことではない。というのも、その年その年によって、受講者の学生諸君のレベルや様子は異なるからだ。しかも、受講者一人一人の間でのレベルの違いもなかなか相当な開きがあって、そのレベルのバラツキ具合も、その年その年によって微妙に違っている。なので、毎年、上記の①②の間でのバランスを今年はどのあたりに落ち着かせるか、ということを、その年に応じて探っていかなければならないのである。

春学期に取り上げたテキスト(本の購入は求めずに、コピーを配布していたのだが)は、その原文そのままだと、学生諸君には大変むずかしく感じられたようであった。なので、それを私が、主旨のみを伝えられるような、よりシンプルな英文に直したものをプリントにして、毎時間配っていたのだが、その労力は非常に大きなものだったので、これを秋学期にも続けることはちょっとできそうになかった。

そこで、秋学期には、内容的に関連した、もう少し簡単な題材をテキストとして取り上げることにした。要するにテキストの変更を決断したのである。これは、もしも受講者諸君にテキストの購入を義務づけていたのなら、とてもできないことだったが、そのほんの一部分を、ほんの数ページ分のみを、コピーして配布していただけだったので、テキストの変更も可能だと判断したのである。

秋学期に学習できる分量も、微々たるものにとどめることになるだろうが--だからこそ、コピーでも対応できるし、著作権侵害の心配もなくなるのだが--それは、上記の①「たくさん教えたい」という希望を極力抑えることに決めたからである。これは私にとっては、なかなか辛い決断だったのだが、学生諸君の現在のレベルや要望をあまりにも大きく超える量や内容を提供することは、かえって逆効果になるおそれがあると考えたからである。たとえ良いことでも、それを無理に押しつけることはできない。

とはいっても、受講者の中には、向学意欲も英語理解能力もなかなか素晴らしい学生もいるから、そういう学生のニーズも満たさなければならない。しかし、たかが1回90分の授業中だけにできる作業などはしょせん限られているし、本当に力を伸ばすためには、授業以外の時間に自分でトコトン勉強するしかない。時間を忘れて集中・没頭して、喜んで勉強に打ち込むほどでないと、大きくは伸びないのである。

もちろん授業に出ることは非常に大切である。だが、その授業で習ったことを“身につける”には、それを自分自身で練習していくしかないのである。だから、授業で受講者諸君に私から提供できることは、自分で勉強するときによい導きとなるような重要な内容を伝えることだけである。それを身につけるために自分でも毎日努力するかどうかは、受講者諸君の自主性に委ねるほかはない。

しかしながら、他方では、「せめてこれだけは受講者全員にクリアしてもらわないと…」という最低の基準は定めなければ、単位認定の際に「可」という評価を出すことはできないから、その必要最低限の到達目標も決めなければならない。

そんなわけで、「可」「良」「優」の3通りのレベルを設定しつつ、そのうちのどのレベルを目指すかは学生一人一人の自由に任せて、全ての学生がそれなりの達成感を味わえるような授業を展開していくことが必要となるわけである。

具体的にどのようにこの秋学期の英書講読の授業を進めていこうとしているかは、授業の時間にお伝えさせていただくことにするが、学生諸君の満足度が春学期よりも上がるよう、コツコツと努力していきたいと思っている。

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