ナイジェリアの石油をめぐる不穏な空気
先日の12月27日の本欄で、ナイジェリア石油パイプラインの爆発事故に関して一文を書いたとき、そのニュースを最初に聴いたときに「テロリストの仕業か?」と勘繰ったが、それが実際にはそうではなかったと書いた(こちら)。だが、ナイジェリアの石油をめぐる事情について調べているうちに、私が最初に「テロリストの仕業か?」と思ったのも、まんざら的外れではなさそうだということが分かってきた。というのも、たしかに今回の爆発事故自体は一般市民が石油を盗み出そうとした際に誤って引火させてしまったことが直接の原因だった模様だが、そのきっかけとなった「石油を盗み出す」という行為自体の背後には、どうやら武装組織の存在があるようだからである。
イギリスBBCのウェブサイトの"Learning English--Words in the News"のコーナーに、12月21日付で、ナイジェリアで石油会社のシェルが武装組織によって襲撃されたニュースが掲載されていた(こちら)。実を言うと、このページにアクセスしたのは、ナイジェリアの石油情勢を調べようとしたのではなく、今日の夕方にBBCのウェブサイトで英語の勉強をしようと思ってのことだったのだが、そうすると意外なことに、そこにナイジェリアでの石油情勢についての記事が教材として載せられていた。その"Words in the News"では、各記事の末尾に、このニュースに関してさらに読み進めるためのリンクも貼られているので、つい最近の私のナイジェリア石油問題についての関心との不思議な符合に驚きつつ、そのリンクをたどって、関連記事を丹念に読むことになったのである。
そうすると、その関連記事では、ナイジェリアの石油地帯(ニジェール川のデルタ地帯:the Niger Delta)の周りにいくつもの武装組織があることがリポートされていた。それらの武装組織は、その地帯の石油から得られる莫大な富を貧困にあえぐ地元住民にもっと分け与えるべきことを主張しつつ、シェルなど同国内の大きな石油会社をたびたび襲っては人質をとって身代金を要求したり、あるいはパイプラインから石油を盗み出しては、それを闇市場で売り(高値で売れるという)、その利益で武器を調達しているというのである(闇市場での石油売却先は主に旧ソ連地域の国々だそうである)。そうした武装組織を、政府高官が背後でバックアップしている可能性も高いらしい。
だから、先日の爆発事故の際にも、おそらくそのような武装組織が大いに関与していたのではなかろうか。というのも、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙のオンライン記事にも、「プロの盗賊がパイプラインを破壊した」という目撃情報が書かれていたからである(こちら)。
また、仮に武装組織の関与が疑われるとしても、私が最初に「そうだとしたら、もっと大騒ぎしているはずだ」と考えたのは的外れであり、実際は大騒ぎされない理由も分かってきた。というのも、こうした石油をめぐっての武装組織の存在は、ナイジェリアにとって、そしてそのニュースにすでに親しんでいる人々にとっては、きわめてありふれた話--That's an old story...!!--であろうからである。むしろ、普段から石油泥棒に悩まされている現地の石油会社の人々は、先日の爆発事故で亡くなった人々のことを「それ見たことか、いい気味だ」とさえ、心中ひそかに思っているかもしれない…。
いずれにせよ、ナイジェリアの石油をめぐっては、不穏な空気が充満している。限られた地域に埋蔵された資源をめぐる奪い合いは、古今東西、政治問題の最たるものであるが、ナイジェリアの例は、それを如実に例証しているであろう。そのような熾烈な奪い合いに巻き込まれずに済むよう、他から奪う必要のないクリーンな自然エネルギーの開発に全力を注ぐことこそが、わが国も含めた、21世紀における各国政府(とくに先進諸国)の非常に重大な役割だと思うのだが…。
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コメント
昨日 知人より ナイジェリアの石油(原油)の 取引を持ちかけられましたが 情報を見てみますと 非常に難しく 困難を伺えます
また 各国とも 石油に関しましては 色々な制約を受け そう簡単に 売り買いが出来るとも思えない そう言った話は 日常茶飯事に出ているものなんでしょうか また 今は世界中が 石油余り現象が 伺えます 石油の最大の消費国である 中国さえも 今までが過剰すぎて 余っている現状を 聞いております
日本の石油販売市況も かなり低価格で 国内販売より 輸出する方が 利益が上がるとの報告も受けています あらゆる観点から
状況が 解るのであれば 教えて頂けますか?
よろしく お願いします
投稿: 大阪の泉 | 2009年3月30日 (月) 15時02分
大阪の泉さん、
どなたかは存じ上げませんが、コメントをお寄せいただいたことに感謝申し上げます。
ただ、残念ながら、私は石油取引のプロではありませんので、具体的に何かアドヴァイスできる用意は、私には全くないことをご了承下さい。そもそも私自身は石油等の化石燃料から少しでも早く脱却して自然エネルギーへと転換すべきだという考えを持っていますし、石油取引のブローカーという職業に就いているわけでもありませんので…。
投稿: 山中優 | 2009年3月30日 (月) 17時48分