« 『ハイエク後の社会主義』を読む(4) | トップページ | ハイエク後の社会主義をめぐって:Th. Burczak と D. Prychitko »

2007年11月13日 (火)

精読と速読

本ブログを10月30日(火)に更新してから、いつの間にか、もう二週間が経ってしまっていた。前回の記事で挙げた2冊のハイエク研究書のうち、そのときに「明日から読もうと思う」と書いていた Espada の本ではなく、実は Shearmur の本を読み始めている。というのも、こちらの方がハイエク思想の全体像に真正面から取り組んでおり、よく考えてみると、私にとってこちらの方が気になる書物だということを再認識したからである。

ところが、実は今まで、この本を少し読みあぐねていた。というのも、一字一句逃さずに、細部にわたって精読することが私の得意とするところなのだが、逆に言うと、それは私には“精読”にこだわりすぎる傾向があるということであり、それが今回はかえって逆効果となっていたからである。

実を言うと、この Shearmur の Hayek and After という本は、非常に読みごたえのある本である。言い換えれば、なかなか読み進めにくい本なのである。論じられている内容も多岐にわたっていて、この著者のハイエクに真正面から取り組む姿勢には大いに感服するのだが、その中には、必ずしも今の私の問題意識に深くかかわるわけではない論点も数多くある。

ところが私には、とにかく最初から順番に一字一句逃さずに、じっくりと味わって読んでいこうとする癖があって、それが時には災いとなるのである。効率が悪くなり、そのうち、読書が苦痛になってきて、なかなか進まないことに対するフラストレーションがたまっていくことになる。

こういうときは、もうひとつの読書のスキルである“速読”を活用すべきだろう。それは、目次を読んで内容を予測することや、各段落の最初の文章のみをまずは拾い読みしていき、議論の大筋のみをまずはつかんでおく--といった方法である。この本には小見出しもたくさん付けられているが、目次にはそれが掲載されていない。そこで私は、かなり以前に、小見出しも含めた詳細な目次を手作りで作成しているのである。その詳細目次を活用して、私の問題意識に照らし合わせて、まず読んでおきたい小見出しのところを優先的に読んでもよいはずなのである。

実はこういった“速読”の方法を、1年生向けの基礎演習という授業では、学生に対して教えている(毎週水曜日の1講時目、つまり明日の朝である)。学生に対して教えているのに、自分のこととなると、ついついこれまでの「精読にこだわるクセ」が顔を出す--というのは、やはり矛盾しているというものだろう。

論文は来年3月が締切だし、もうひとつ、ハイエク全集第Ⅱ期政治学論集の翻訳の仕事も3月締切であることを考えると、もっと研究のテンポを上げていかねばなるまい。ここはひとつ、“速読”のスキルを活用して、研究のスピードをもっと上げていこうと思う。

|

« 『ハイエク後の社会主義』を読む(4) | トップページ | ハイエク後の社会主義をめぐって:Th. Burczak と D. Prychitko »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『ハイエク後の社会主義』を読む(4) | トップページ | ハイエク後の社会主義をめぐって:Th. Burczak と D. Prychitko »