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2007年11月15日 (木)

ハイエク後の社会主義をめぐって:Th. Burczak と D. Prychitko

前回の記事で述べた Shearmur の本を速読したところ、だいたいその主張をおおまかにはつかめた(あるいは再確認できた)ので、別の本に移ろうと思い、以前に入手しておいた次の書物を研究室で今日ふと手にとってみたところ、この本が Burczak の Socialism after Hayek に非常に関連の深い書物であることが分かった:

David L. Prychitko, Markets, Planning and Democracy: Essays after the Collapse of Communism (Edward Elgar, 2002)

著者の Prychitko は、本書掲載の著者紹介によると、米国の北ミシガン大学経済学科長であるとともに、同じく米国のジョージ・メイソン大学--公共選択学派のメッカ--のジェイムズ・ブキャナン政治経済学センターでの「市場と制度」研究プログラムの Faculty Affiliate(「研究員」とでも訳せばよいだろうか)である。本書の Introduction によると、彼はハイエクが属したオーストリア学派の立場に立ちつつも、ハイエクを真剣に受け止めつつ社会主義を再生させようとするポストモダン・マルクス主義者--Burczak はその論客の一人であるが--との議論を真剣に続けてきた研究者である。

本書の Introduction を読むと、ベルリンの壁崩壊以降、市場と社会主義との関係をめぐって、すでに1990年代から活発に議論が重ねられてきたことがよく分かる。その議論を消化しつつ、わが国の状況に照らし合わせて考察を深めることは、ハイエク研究者の一人として、為すべき仕事の一つかもしれない。10月30日の記事で、「Burczak を読み進めることはいったん中止する」と述べたが、オーストリア学派の立場に立つ Prychitko を他方に置くことで、また新たに見えてくることもあるかもしれない。

とはいえ、この議論は政治学というよりは経済学の分野に近いのだが、経済学のみというわけでもない。むしろ、政治経済学の分野に属するといえるだろう。現にPrychitkoは「比較政治経済学」(comparative political economy)という言葉を使っている(上掲書, p. 1)。数理経済学ではないので、政治学畑の私にもついていける議論だろう--と信じて、今後はこの Prychitko の議論と照らし合わせつつ、Burczak の“ハイエク後の社会主義”の議論についての検討を再開しようと思う。

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