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2009年12月18日 (金)

ハイエク翻訳終了:「訳者あとがき」に代えて

2年前からの「宿題」となっていた、春秋社刊『ハイエク全集第Ⅱ期第5巻 政治学論集』の翻訳(監訳)にかかわるすべての作業を、今月1日にようやく終えることができた。

全13章のうち、脱稿する前に目を通せなかった3つの章については、先月下旬の校正段階で目を通し、必要と思われる修正を施しておいた。そして11月30日の夜に上京して前泊しておき、翌12月1日にその校正案を持って春秋社編集部へと直接赴いた。そこで編集担当者と一緒に、その日の朝9時半から夕方4時半までの間ずっと、社内の1室にこもって校正原稿すべてに再度目を通し、必要な修正について、最後の調整を行ったのであった。

訳語については、読みにくい直訳は避け、読みやすい日本語にするよう、心がけた。関係代名詞を多用するハイエクの英語はかなりの難物だったが、その意味内容を日本語の発想に置き換えて訳すに当たっては、本ブログでもすでに何度か言及したが、故・安西徹雄氏の翻訳論--『英文翻訳術』および『英語の発想』(ちくま学芸文庫)--が大変役に立った。もとより、読みやすい日本語になっているかどうか、また思わぬ誤訳がないかどうかについては、読者諸賢のご判断に委ねるほかはない。

「解説」の執筆担当も私であった。そのタイトルは、編集担当者と話し合った結果、「政治学からみたハイエク」とした。一見何の変哲もないタイトルではあるが、ハイエクを“政治学の観点から”みること自体が、(少なくとも日本では)おそらくかなり珍しいことなので、このようなシンプルなタイトルとした。その内容については実際にお読みいただくしかないが、「政治学からみたハイエク」について明快な解説ができるよう、私なりに努めたつもりである。

このハイエク政治学論集の翻訳は、田総恵子氏がまず全文を訳し、その訳文を山中が原文と対照させ、必要な修正を施すという形で進められた。ハイエクの英語を一から訳していく作業には、きわめて多大な労力が必要だったに違いない。この田総氏のご尽力がなかったら、その刊行がいつになることやら分からなかったことだろう。

また春秋社の編集担当者・山田兼太郎氏は、一般読者にも分かりやすい訳文にするという観点から、数多くの提案をして下さった。書物というのは、著者(訳者)と編集者との共同作業によって出来上がるものだということを、改めて実感した次第である。

この『ハイエク全集Ⅱ-5政治学論集』の印刷・製本は、今月20日頃には出来上がり、書店に並ぶとのことであった。

今回の『ハイエク全集第Ⅱ期』のシリーズには、いわゆる「訳者あとがき」の欄が設けられていないので、『Ⅱ-5政治学論集』に関しては、本ブログのこの文章が、事実上、「訳者あとがき」に当たるものと言えるかもしれない。いずれにせよ、本訳書の刊行が、日本におけるハイエク理解の深化に少しでも貢献できるものであることを、願うばかりである。

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