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2010年5月12日 (水)

「政府・与党二元体制」いまだ克服されず

現在の民主党政権を見ていると、長らく自民党政治の特徴とみなされてきた「政府・与党二元体制」が、いまだに払拭されていないと言わざるをえない。

この「政府・与党二元体制」というのは、政治学者の飯尾潤氏によるものである。議会選挙と大統領選挙が全く別の「二元代表制」たる大統領制とは異なって、議院内閣制は議会選挙で勝った政党が行政部のトップである内閣も構成できるという「一元代表制」だから、選挙で勝った政党は、本来なら「政権党」と呼ばれるべきである。それなのに、それが政府とは区別された「与党」と呼ばれてきたところに、日本の議院内閣制の特殊性があったのである(したがって、「与党」という日本語のもっているニュアンスは、英語には訳しきれないということになる)。

それでは、なぜ「与党」は政府とは区別される存在だったのか。それは、簡単に言うと、政府=内閣が公共利益を推進すべき立場にあるのに対して、与党はむしろ個別利益を保護するために活動していたからである。そして、公共の利益の推進がある業界団体=圧力団体の個別利益にとって不都合な場合には、与党の「族議員」が内閣を牽制し、その政策から首尾一貫性を失わせてきたのであった。

そうした弊害を打破すべく登場してきたはずの民主党政権だと思っていたが、日本経済新聞で最近連載され始めた「軽すぎた約束:袋小路の政権公約」などを読んでみると、どうやらそれはちがっていたようである。

しかし、その弊害が克服されない限り、日本政治の混迷はこれからも続くことになるだろう。目の前の選挙に勝って権力にしがみつくことだけを考えて、あるいは権力を奪取することのみを考えて、候補者選びにおいてもスポーツ界等で有名だからという理由を最優先しているようなら、そのような政党政治に未来はないのである。

【参考文献】飯尾潤『日本の統治構造:官僚内閣制から議院内閣制へ』(中公新書、2007年)

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