2008年1月11日 (金)

iPS細胞研究に国費30億円

昨日1月10日の国際政治論(伊勢学舎)で、テキスト『国際政治経済学・入門』(有斐閣アルマ)新版あるいは第3版の第7章「科学技術と現代国際関係」を取り上げたが、ちょうどその日、iPS細胞研究、国あげて支援へ…国費30億円投入というニュースが報じられていた。京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功した万能細胞(iPS細胞)の研究を加速させるための支援策である。

テキストでのバイオテクノロジーの説明はES細胞(ヒト胚性幹細胞)で終わっているが、授業でも少し説明したように、ES細胞の場合は受精卵を用いるために生命倫理上の問題が生じるのに対して、iPS細胞(induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)の場合は、受精卵を壊さず、皮膚細胞などから作製できるので倫理的問題が少ないため、再生医療への応用が大いに期待されている。

テキストにも、現代の科学技術をめぐる研究開発競争の激化が述べられていたが、実際、今回国が支援を決めた背景には、YOMIURI ONLINEで解説されているように([解説]「iPS細胞」研究競争)、米国との激しい研究開発競争がある。その競争について、当の山中伸弥教授は、一方で国内で研究者が結集できる場の必要性を訴えつつ、他方で1月9日の日本外国特派員協会での講演では、激化する研究競争について、「ストレスだが、元気のもとでもある」「彼ら〔世界のライバルたち〕は友達でもある。競争はスポーツのようなもので、健全な状況だ」と話していたという(産経新聞1月10日朝刊)。

iPS細胞についての詳しい説明は、Wikipediaに譲ろうと思うが、いずれにせよ、テキストではiPS細胞への言及がなされていないため、ここで補足しておく次第である。

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2007年9月12日 (水)

気候変動と安全保障:英研究所の警告

英国の有力なシンクタンクである国際戦略研究所が、気候変動を安全保障に直結する課題とし、各国に早急な対策を呼びかけた「戦略概観2007」を発表したことを、読売新聞のウェブサイトが伝えていた(「地球温暖化」が紛争の種にも…英研究所が警告、対策訴え)。

地球温暖化については、総合演習や政治学概論などの授業で取り上げているが、学生諸君には、地球温暖化=気候変動問題が、単に環境問題にとどまるものではなく、安全保障問題にも直結する問題であることを知っておいてほしいと思い、ここにお伝えする次第である。私の授業を聞く際の参考にしてもらえれば幸いである。

学生諸君のための追記:上記のリンクのうち、読売新聞のサイトの記事は、更新が日に日に進むにつれ削除される可能性があるが、「戦略概観2007」についてはおそらくその心配はないだろうから、詳しくはそちらを参照されたい(ただし英語であるが)。その英語原文の文書全体は、国際問題研究所の会員でない場合は購入する必要があるようだが、その要約版のファイル(PDFファイル)は、誰でも無料でダウンロードできる。

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2006年2月 1日 (水)

国際政治論:単位認定基準について

国際政治論(平成17年度秋学期伊勢学舎)受講者諸君へ

このほど、国際政治論の小テスト(計8回実施)の集計を終え、採点作業を行なった。その結果については、しかるべき時期に所定の手続きを踏んで諸君に示されることになっているから、ここではもちろん、諸君の個々の成績について言及することは出来ないが、ここでは全体に関わる単位認定基準について、述べておきたい。その要点については、すでに授業のときにも口頭で何度か説明したところだが、ここでは、それ以外の点についても補足しつつ、改めて説明しておこう。

(1)単位を認定するか否かの基準:計8回のうち4回の小テストで6割以上の正答率
優・良・可の別はともかくとして、そもそも単位を認定するかどうかの基準は、計8回行なった小テストのうち4回以上で6割以上の正答率を確保できたかどうかで判定した。

つまり、受けた小テストのすべてで6割以上を取れていなくとも、4回以上それができていれば、単位を認定したというわけである。

だから、単位を認められるかどうかという、諸君にとっての第一関門としては、そんなに厳しいハードルを設定したというわけではないことは、ご理解いただけることと思う。

(2)優・良・可の判定基準:小テスト“総回数の”平均正答率に受験回数を加味して判定
他方、「可」以上の学生諸君について、優・良・可の別を判定するに当たっては、「4回以上」ではなく、諸君が受けた小テストの“総回数”の平均正答率で判断した。

つまり、その平均正答率が7割の場合に「良」を与え、8割以上の場合に「優」を与えた、というわけである。

言い換えれば、たとえば4回は7割を超えていたとしても--つまり4回に限っては「良」に値するものであったとしても--残りの小テストの成績も加えて全体の平均を出すと結局6割となった場合は、「可」の判定を与えてある。

すなわち、(1)の第一関門では多少ゆるい基準を設定した代わりに、(2)の第二関門では、今度は逆に多少厳しい基準を設定した、というわけである。

とはいえ、もちろん(1)が優先するから、たとえ全体平均では6割を切っていても、4回だけなら6割の正答率であれば、それは依然として「可」である(ただし、一番ギリギリの「可」であることはもちろんだが)。

ただし、平均だけで考えてしまうと、8回全ての小テストを受けた学生よりも、たとえば7回、6回、5回、4回というように小テスト受験回数自体が少ない学生の方が、高い平均を出しやすくなってしまうため、そのような不公平が起こらないよう、小テストの“受験回数”も加味してある。

ちなみに、全体の平均正答率を計算してみると、57.9%であった。

ただし、これは全体を単純に足し上げた平均であって、単位認定自体は、8回のうち4回の成績だけで判定しているから、この“57.9%”という平均正答率の数字を見て、「6割弱の受講者しか単位認定されなかったのか?」と早合点しないでほしい。

欠席過多による受験無資格者を除くと、採点の対象となった学生数は結局69名であったが、そのうち「優」の学生は12名、「良」は9名、31名が「可」という結果となった。したがって合格率は、採点対象となった69名を母体とするならば、75.36%だったということになる。

(3)再試験対象者へ
今回残念ながら「不可」となった諸君のうち、卒業のかかった4年生については、制度上、再試験を受けることが認められているから、頑張ってほしい。

再試験は、授業で行なった計8回すべての小テスト問題をすべて、今度は一度に解いていただく。小テスト1回についてかけられていた時間はだいたい5分程度だったから、計8回全てを一度に出題しても、60分の解答時間が許されている再試験において、決して過剰負担とはいえないだろう。

持ち込みは一切不可とする。小テストでも一切不可としていたのだから当然である。気を引き締めてテスト勉強に励みなさい。

今回不可となった4回生諸君は、今回の勉強不足を真剣に反省して、シッカリと準備をしたうえで再試験に臨んでほしい。再試験を受験する諸君の奮起を心から期待している。

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2005年12月19日 (月)

国際政治論:テキスト採用の理由&授業運営方針について

伊勢学舎での国際政治論では、ジョゼフ・S・ナイ・ジュニア『国際紛争:理論と歴史[原書第5版]』(有斐閣、2005年)を用いて授業をしているが、10月からすでに始まっている半期の授業としてはすでに終盤にさしかかろうとしているこの時期に、遅ればせながらであるが、受講生諸君に、シラバスには書き切れなかった説明を、ここで補っておきたい。

2単位の、授業回数が大変限られた講義であるにもかかわらず、300頁あまりにもわたるこのテキストを採用したのは、この講義を国際政治の世界への入り口としてもらい、単位をとった後にも、ぜひ諸君自身が自主的に国際政治について考えるときの「よすが」の一つとしてもらいたい、という理由からである。

講義でも以前に少し述べたが、一昨年度--隔年講義となったので、前回は一昨年度となる--までずっと使用してきたのは、高坂正尭『国際政治:恐怖と希望』(中公新書)と、野田宣雄『二十世紀をどう見るか』(文春新書)の2冊であった。前者は1966年に刊行されたのだが、それ以来、版を重ね続け、私の手元にあるのは、「1998年6月25日39版」である。要するに、今も売れ続けている名著である。ただ、時代が少々古いので、現代のことを補うために、後者もテキストとしていたのであった。いずれも新書ながら、名著である。

新書であるから手頃な価格で手に入れられるし、しかも名著であるという理由で、平成12年度から伊勢学舎で国際政治の講義を担当するようになって以来、(平成15年度までは毎年講義であったから)4年間ずっと、この2冊の新書をテキストとして、授業を行なってきたのであった。

ところが、単位認定はずっとレポート試験によって行なってきたのだが、明らかに互いに写し合ったと思われる答案が徐々に散見されるようになり、平成15年度にはその発生件数がもっともひどくなった。内容上の誤りのみならず、誤字までが全く同じだったのだから、見逃しようがなかったのである。

当然、毅然として厳正に対処し、そのような答案はすべて単位不認定とした。成績交付後、不認定の理由を聞きに来た学生も何人かいたようだが、事務方よりその理由説明をされると、皆おとなしく引き下がったそうだから、みな「身に覚え」があったのだろう。私の目は、不正を見逃すほどの“フシアナ”ではないのである。

それでホトホト懲りたのである。「どんな方でもどうぞ受講してください」というオープンな態度で授業をし、毎年200名を超える受講者であったが、私語の問題も徐々に深刻化してきていた。

要するに私の姿勢が「甘すぎた」わけだ。「この先生なら私語をしても、不正をしても、大丈夫では…」と思わせるようなスキを見せてしまっていたということだ。それを大変反省したのである。

そこで、今年度からは、思い切って、敷居を高くしてみた。分厚く、価格も2600円という値段のテキストを使用し、しかも学期末のレポート試験ではなく、毎回の授業で小テストを行なうようにするというように、授業運営の方針をガラッと転換し、真面目な学生に受けてもらうようにしたのである。

別に人数を減らすことを考えたわけではない。真面目でありさえすれば、大人数でも大歓迎だったのだが、結果的に、受講者数は大幅に減った。現在、出席者はだいたい70名前後である(履修登録者は100名以上であったが、出席回数の足りない学生が規定どおり受験資格を失うことはもちろんである)。

そのような訳で、テキストは大部なものであるにもかかわらず、授業回数は極めて限られているため、授業では細部にわたっては説明できない。要点のみを抽出して、それを分かりやすく整理して諸君に提示することができるだけである。そういう意味で、授業で諸君に示せるのは、本書の幹の部分(それも全部ではなくてその一部)であり、幹から豊かに繁茂している枝葉の部分については、授業ではすべて割愛せざるを得ないのが、大変残念である。

しかしながら、それは他方では、授業の明快さを確保できる、ということでもある。諸君は、この内容豊かなテキストから、授業でその骨組みにあたる部分について明快に整理された知識を身につけてもらいたい。そして、授業をすべて受け終えた後は、諸君自身の力で自立して、国際政治の世界にも関心を持って、一人の人間として考えていってほしい。

そのための入門として、この授業が諸君の役に立つものになることを切に願って、授業を行なっている次第である。

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